平日の18時半頃、気温は35度を平気で超えているだろう、そこに足の萎えた男が歩いていた。その男は10年ぐらい前に、とある病院で「薬を出せ!」と受付に恫喝していた男であることを記憶している。そして、その足の萎えた男がほぼ毎日、同じ時間に買い物に来ているのも知っている。
今日、その買い物後の帰宅時の様子を上から見下ろすことができた。
彼は足が萎えている故、歩くのもぎこちなく、10m歩くのに10秒以上かかる始末だ。
私は彼がどんな病気で、どうして足が萎えたかは知らない。確か、妹もいたと思うが、最近は全く見当たらない。
その通りには私鉄の踏切があり、夕方の帰宅ラッシュで10分以上踏切が開かないこともしばしば。そしてその足の萎えた男はその踏切を通らないと帰宅できない。
踏切が開き、彼が歩き始め、踏切に近づいた時、私は密かに
「踏切よ!閉まれ!」
と心の中で呟いた。帰宅ラッシュも重なり、私の願い通りに彼が渡る寸前に踏切の警報が鳴りだした。
健常者であれば、直前で警報が鳴っても、走って渡ることは可能だが、彼は走ることもできないし、歩くことも鈍足である故、踏切に入って出られなくなる可能性があるので、彼は踏切を渡ることをあきらめた。私はまた心の中で「ザマないね!」と囁いた。正に私の中に悪魔が入ったのだ。
そして昨日、このことを細君に話した。
健常者であれば、直前で警報が鳴っても、走って渡ることは可能だが、彼は走ることもできないし、歩くことも鈍足である故、踏切に入って出られなくなる可能性があるので、彼は踏切を渡ることをあきらめた。私はまた心の中で「ザマないね!」と囁いた。正に私の中に悪魔が入ったのだ。
そして昨日、このことを細君に話した。
細君は「ひどい男だ!」と私に言った。
私は残酷で冷酷で偽善者なのだ。私の中に悪魔が入った?
Non!Non!私自身が悪魔なのだ!
これが私が生まれたことが私の罪である所以である。
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